多職種チームで作る広報誌「ひいらぎ」
【病院広報アワード】年齢・役職を超えて
【広報誌部門最優秀賞】
愛知医科大学メディカルセンター(愛知県岡崎市)
医療福祉相談室 社会福祉士・嘉村紗也加さん
【関連記事】
月1回の企画会議では、医師・看護師・リハビリスタッフら多職種の編集チームが意見を出し合う。
最新の2024年3月号(通巻5号)では、認知症と「もの忘れ」の違いを特集で取り上げた。また、臨床工学技士と医師事務作業補助者の1日に密着し、院内での仕事ぶりを紹介する記事も載せた。
病院広報誌「ひいらぎ」は、“全員参加型”が最大の特徴だ。23年には、編集チームのメンバー13人が、本業と兼任して誌面作りを担当した。
企画立案や取材、撮影、誌面のラフ作成、デザインなどの段取りは編集チームが決める。新人の提案も、面白かったらすぐ採用する。「時代は横。広報誌作りに年齢も役職も関係ない」。
愛知医科大メディカルセンターは、愛知医科大学病院の初めての分院として21年4月、岡崎市内に開院した。「ひいらぎ」の創刊は翌22年4月。9月と3月の年2回、3,000部を発行し、患者さんや連携先に配る。
当初は事務部門のスタッフのみで作っていたが、誌面を活性化させようと、多職種参加型の編集体制に切り替わった。人脈の広さと丁寧な仕事ぶりを買われ、退院支援の業務を担当する社会福祉士の嘉村さんに23年4月、編集チームの初代リーダーとして白羽の矢が立った。
嘉村さんたちが真っ先に着手したのが誌面のリニューアルだ。キーワードは「伝える、繋がる、拡がる」。
難しい病気の話や院内の設備の紹介などに偏りがちなコンテンツの内容を見直し、院内のスタッフに声を掛け、登場してもらう路線に変更した。
ビジュアル面では、記事の文字数を減らしてイラストや写真をたくさん掲載することを意識した。歴史がまだ浅いメディカルセンターへの理解を促し、敷居を下げるのが狙いだった。
23年9月のリニューアル第1号(通巻4号)では、回復期リハビリテーション病棟に入院する患者さんの1日を掲載し、一般的な治療の流れが一目で伝わるように工夫した。
「ひいらぎ」の記事を読んだという患者さんや福祉関係者からの問い合わせがリニューアル後、立て続けにあり、手応えを感じた。
病院広報アワードにエントリーしてからは、病院全体に協力を呼び掛けてプレゼンの内容を固めた。すると、「ひいらぎ」の知名度は院内で一気に高まり、職員同士のつながりが広がった。
24年9月号(通巻6号)からは、リーダーの業務を後任に引き継ぐ。「ひいらぎマインドを託したい」。これからは院内のスタッフの1人として広報誌作りを支える。
医療介護経営CBnewsマネジメント
【関連記事】
【関連キーワード】